●お湯の温度と湯冷まし
■最初に
長年お茶をお客様にお出しして飲んで頂いているが実に奇妙な事に気がつく、その日の入れ方の「出来」 によって味が違ってくるのだ。
もちろん体調の変化も変動要因ではあるが同じ様にいれている筈なのに何故か違った味になるのだ、何故だろう?

■原因は微妙な温度変化
もちろん味をみるのは人間であるから仕方ないとして、お湯の量、茶葉の量、入れる急須や飲む器 などはいつも同じものである。
まてよ、そうだ!温度を忘れていた。

私は以前にはお湯の温度を測るために赤い色の液体温度計を使用していたが、いつのまにか感にたよる様になっ て、温度を測って入れるような事はしなくなっていた。しかし感は体調や時間によってかわってくるし 日本は四季があるので気温が変化し、茶器自体の温度もかわり微妙に影響するのだ、そう..初心に戻ろう!!

■以外に難しい沸騰温度!
実際に温度を測定しつつ沸かしてみたがこれが以外に難しい、お茶をいれるには必ず一度沸騰したお湯を使用す るのは鉄則(塩素抜きと殺菌効果など)だがこの「沸騰」て何度の事だろう?、そう良く知られている水の沸点100度の事だ!でも実際に沸かして みるとわかるのだがガスではどうにかやっと100度までは上がるものの電気ポットでは温度計は96度付近までしか上がらない事が多い、 火力の違いもあるが水の沸点100度とは1気圧でしかも純水の水での事だからだ、気圧の変化などにもよって違って くる沸点を探し出す事は意外に難しいのだ。

従って、沸騰の有無は温度計をヤカンに触れないように気をつけ、立ち上がってくる熱気に注意しながら測るのは実用 的でない、そこで水は沸点に達すると水蒸気を発生する現象を利用して目で確認出来る方法をご紹介したい。

まず、ヤカンに水を入れるがこの時にヤカンに水を一杯まで入れないようにする。ヤカンの内側からみて出口の穴を 水で全部ふさがないように入れる、これは気体の通り道を確保するためである、また安全のためにも注意したい事項で ある。
次にきちんとフタをしガスの火にかけ加熱して行くと次第に白い湯気が上がって70度近辺から音がしだして来る、 もちろんこの状態では沸いていない、さらに加熱を続けるとヤカンの口から勢い良く湯気が出てくるがさらに加熱を続けるとヤカンの 口から出ている白い湯気は透明になりその先は白い湯気となってかなり勢い良く出てくる、この状態で水は沸点に達 し沸いた状態となる。また本来蒸気は目で見えないため気温、湿度によっては白く立ち上る湯気の勢いによって判断しなくてならないが音でも判断できる、ヤカンは70度くらいから音をたてはじめるが90度くらいから大きな音に変わる、さらに加熱して十分に沸騰すると逆に少し静かになる。この変わり目が完全沸騰の目安であるので活用すると良いと思う。


この透明な気体こそ「水蒸気」であり沸点100度に達し水が気体の水蒸気に姿を変えたしるしである。

また、一度沸いたお湯は再度沸かししてはならない、俗に言う「湯疲れ」(ゆづかれ)がおき不純物を含んだお湯が 出来あがってしまうのだ。これは私が実際に試したので【お湯の2度沸かしは良くない】 をご覧頂きたい。

■冬場は温度低下が著しい
さて、お湯がめでたく沸いたならば資源節約のためにも電気を使用しない保温ポットにいれよう

※私は諸々の実験によりヤカン愛好家である、ガスの火力でしかもヤカンで沸かす理由の一番の理由は 匂いが移らない事である、電気ポットを使用すると時々独特な金属臭と思われる匂いが着く事があり 私が実験した3種類の電気ポットはどれも同じ匂いを持ったのだ、したがって私は電気ポットではお湯を 沸かさないし保温もお奨め出来ない、ご了承頂きたい)

沸いた直後のお湯をお茶に使用するにはまずはお湯を適温に冷まさなければならない、冬場では100度のお湯も ポットに移した時点で92度位になっており、このお湯を約70度から80度まで冷まさすわけである。

ここで活躍するのが「温度付き湯冷まし」である。ポットから湯冷ましにお湯をいれると湯冷まし自体が 冷えているため温度低下が著しく92度あったお湯はすぐに10秒ほどで70度(液体温度計の数値)になってしまい 慌ててしまった、ここで気が付いた事だが湯冷ましに付いている化学変化を利用した温度計はお湯と非接触な ためタイムラグを生じ瞬時に温度を表すわけではない、安定するまでに多少時間を要するのだ、その時間は 湯冷ましが冷えている状態では約70秒、温まっている状態では約30秒である、また夏場ではこの半分位の時間で そのお湯の温度を表示する。
従ってお茶を美味しくいれるには事前に湯冷ましだけでなく、急須、煎茶茶碗にもお湯をいれて暖めておく 必要がある。

■茶器類は事前に温めよう!
一回目は湯冷ましが冷えていて慌ててしまったが二回目は湯冷ましが温まっているため落ち着いて出来た。 二回目は30秒程で温度が75度になった、もちろん液体温度計と湯冷ましの底に付いている温度計は合っている。

煎茶を入れる温度に丁度良い75度になったところで事前に湯通し(ユドウシ)して茶葉が入っている急須にお湯を注いだ。 お湯を注いで待つこと約30秒(深蒸し茶の場合)、急須を2回廻して煎茶茶碗に注ぐ。あらかじめ茶碗も温めて あったので煎茶茶碗のお茶の温度は丁度飲み頃の55度であり美味しく入れる事が出来た。茶碗などを事前に温めて おかないと最終的に飲む温度が低すぎて美味しく頂けない、特に冬場は注意したい。
今回は沸き立てのお湯を使ったがポットの中の温度も3時間程たつと湯冷ましを使用しなくても直接使用出来る 温度になった、こうなればしめたものである。

■湯冷ましの使い方
湯冷ましはお湯の温度が熱い時にのみ使用した方が良い。なにが何でも湯冷ましを使用すると温度が思った より低くなり過ぎて美味しくはいらないので注意したい。
もっとも「温度付きの湯冷まし」ならば湯温のチェックにも使用出来るので冷ましした方が良いのか、 それとも新しく沸かしたお湯を使用した方が良いのか判断出来ひとつあれば重宝する、また今回使用した この湯冷ましは側面に小さな突起がありこれが湯量の目安となる、測ったところ下から約75cc、150cc、200ccとなって いる。※私は店で1年使用しましたが段々と温度が今何度なのかわからなくなってしまう事もあります、長期使用には向かないと思います。

■お茶をいれる温度
「ほうじ茶」は90度位、「深蒸し茶」「粉茶」は70〜75度位、「浅蒸し茶」は70度位、「玉露」は55度位、を目安にし 後は好みで温度を設定すればいいと思う、茶の渋みはお茶の薬効成分であるタンニンが茶葉から溶け出して茶独自の 味を作りだすが、この溶け出す温度は70度付近から徐々に溶け出すため80度以上で入れれば渋みが強く60度以下でい れれば甘くなる、甘さが命の「玉露」はそのために低温でいれるのである。
私は多少渋みがあった方が飲みごたえがあり体には良いし口の中をサッパリ洗い流してくれるので75度から80度付近で いれて飲んでいる。
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