間違いだらけの急須選び




この急須選びは長年、お茶屋を営んできた静岡県沼津の『四代目お茶きん』が、美味しくお茶を煎れるには、どのような急須を選択したらいいかというお客様のご要望にお応えして、今までの知識を 文書化したものです。

データー:お茶屋さん(静岡県、東京都内)に聞いてみた
<使っている急須は?>常滑焼きが主
<理由は?>使いやすい、美味しくでる。

 


意外に知られていない急須の選び方(その3)7月1日

急須の中にお茶の葉をこすために取り付けてあるアミ(網)、このアミは実に様々な形、材質、 取付け方法があり、また茶の種類や使用用途によってこれが一番良いとは言い切れない面がある、 しかしそれではこのコーナーの意味がないので上記の常滑急須にあう”お勧めの網”を選んでみたい。 必要条件としてまず実用的でなければならない。急須1個で普通煎茶から深蒸し茶、茎茶、粉茶まで カバー出来しかも衛生面も考慮したい。

陶器製のアミ
お茶を美味しく入れれるアミは急須と同じ材質で出来ている陶器製のアミ が一番だが(金属類を使用していないので金属臭がない、昔はみなこれであった)これは使ってみると わかるのだが、粉茶や深蒸し茶をいれるとアミ穴が大きいので茶碗に葉っぱがでてしまう、また詰まり やすいのが難点だ。最近陶器製でアミの穴を多く開けた急須もあるがやはり金属製のアミに比べ穴の数 が少ないので詰まりやすく、また陶器製ゆえアミ本体の厚みがあるため茎茶などを入れると穴に入って しまい茎がふやけて穴を塞ぎ水洗いだけでは取れにくいといったお客様の意見もある。その方はアミを掃除中につい力が入ってしまい 陶器製のアミの一部が破損してしまった経験があるという。美味しく出るのは陶器製なのに普段家庭で 使用するとなると問題点も残る、残念だ。

余談:私はある時アウトドア専門店で衝撃を受けた「チタンで作ったコップ」を見たのである、今までのステンレス製はどうしても金属臭がしてホーロ製のコップを使っていたのだがこのコップを購入し試した所それがしないのである。つまりイオン化が殆どないので口当たりも自然でお茶のデリケートな味にもピッタリなのだ。そこでヒラメイタ!
このチタンで急須のアミを作ればいいのではないだろうか?
アミに止まらず急須本体もどうであろうか?急須製造の皆さん是非チタンで作って欲しいものである。
(チタンは高価で加工もしにくいそうだが日本の技術をもってすれば可能なはずだ)

 

 


■ポイント:私の陶器製アミの使い方は次の如くである。**半球型で穴が多い急須は確かに美味しく出るので使用 しないてはない。ただ選ぶポイントとして陶器製のアミ(茶コシ)は本体に固定されているので絶対に取り外し出来ない事を頭に入れておきたい、そして陶器製茶コシの大きさと急須の本体側の口の部分が限りなく同じ大きさであることが望ましい。そうでないとヘドロが溜り掃除出来ないのである。
また茶葉、お湯を多く入れず1人分位を出すならマニアにはいい、つまり茶碗に出す時に半球型アミが 全部茶葉に覆われないようにいっぺんに急須を傾けず注意しながら半球型アミの20%位頭が常に見えているようにすると、この隙間から抽出された成分がでていくので詰まらなく、そして実に味わい深い茶となる。お試しあれ!

陶器製(細目)の茶漉しとステンレス製の茶漉しによる違い

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陶器製の「細目アミ」   ステンレス「さわやかアミ」

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写真1
左側が陶器製細目を採用した急須(陶器製のアミでも種類が多いがそのなかでも目が細かい急須で実験約1300個の穴が開いている)、右側がステンレス製の急須で深むし茶(100g千円を使用)を5g入れてそれぞれ20秒浸出させ粉がどの程度茶碗に出るのか撮影した画像である。
上段は急須を振らずに静かに茶碗にそそいた画像
結果は陶器製細目の方がステンレスよりも少し粉が多く出たが気にならない程度である が出てしまった粉の粒子の大きさがステンレスアミより大きい。(粉が少ない大きな葉ではこのように粉は出ない)
また、下段の2個は二煎目で急須を2回振って(回して)から直後にそそいだ画像である。
急須の中で茶葉が舞い上がるのでアミの部分から粉が出て濃い緑色となる。

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写真2
これは上の状態から3分後に撮影した画像である、細かい粒子が沈殿し下部の2個の茶碗の様子がわかって来た。
意外にステンレスの茶漉しの方が少しではあるが粉が多く出ている。ステンレスはアミの表面積が今回使用した陶器製細目よりも大きいためこのような結果となった 、陶器製は表面積がステンレスアミの約半分でありまた二煎目なので粉や葉が水分を吸って大きくなり穴を通過しにくくなるようだ
(帯状のアミは詰まらない急須ではあるがその分さらに粉が多くでる)
 
 

※様々なお茶を淹れて思うのだが深蒸し茶や粉茶など細かいお茶をいれる時に注意したいのは「茶漉し部分の表面積」である、深蒸し茶用、とか粉茶用とか提示してある急須やポットを購入して驚くのは「茶葉が詰らない」のを前面にだしている点で詰まりにくい、しかしそのぶん細かい茶葉が茶碗に出てしまうことまで考慮していない、特に一煎目はまだ茶葉が膨張していないのでアミの表面積が大きくなればなった分だけ通過してしまう茶漉しは必要最低限の大きさで十分である、後はテクニックで補うのがいい
このような事を実験しているうちに2013年あたりからパンチングアミの茶濾しが出てきたカゴアミではあるが網状になっていないステンレス板に小さな穴が開いているものだ、従来の編んだカゴアミより穴の大きさが小さくまた数も少ないので茶葉は下に落ちないので意外に使いやす、、ただ今実験中!

 


■金属製のアミはどうだろう。金属製のアミは現在ステンレス製とフッソ加工されたアミがあり アミの形は様々でそれぞれ特色をもっている。金属製のアミに共通している点は陶器製に比べ詰まりにく く粉っぽい深蒸し茶くらいならまず大丈夫だ、また多少歯ブラシ等でこすって掃除しても弾力があるため 安心して専念できる。また茶渋がついて目が狭くなったり、変形したりした時にはアミが取り替え可能な 急須もあるのでありがたい。さらにフッソ加工されたアミなら金属臭もなく茶渋などもつかず衛生的で お勧めだ。ただ変形しやすいため指で押したりしても隙間が出来る事もあるのでそんな時は取り外して成型してから元に戻してやると良い。

平板網半球状網
帯板網カゴ型網

以上のことからまずアミの材質は金属製でステンレス製、フッソ加工されたものならなお良い。

次にアミの形だが大きく種類を分けると二つに分けられる、カゴ型と板型である。 まずカゴ型からみてみよう、急須の中にスッポリ入るアミであるからなんと言っても茶葉を捨てるのに 楽であり茶葉を急須から捨てるとき水も節約出来る、またカゴ型ゆえ取り替え可能であり清潔である。

板型は種類が多く平板網、半球状網、帯板網、などでこれらは急須になんらかの方法で固定されている、 そしてこの手の急須が一番多く出回っている。
それではカゴ型と板型はどちらがいいのだろうか?これは次回(その4)でみてみよう。


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